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第12回日本補完代替医療学会学術集会
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第13回 日本補完代替医療学会学術集会開催にあたって

 第13回日本補完代替医療学会学術集会の開催にあたり一言ご挨拶申し上げます。我が国は最先端医療が受けられる先進国の一つであり、また多くの国民が比較的均一水準の医療が受けられる国民皆保険制度を有するという、恵まれた環境にあります。しかし一方で世界に類を見ない速度で高齢化社会が進んでおり、医療にかかる経済的負担も将来莫大になることが予想され、大きな不安材料になっております。
 高齢化社会に向けてますます増加することが予想される疾病の一つにがんがあります。現在でも国民の3人に1人はがんに罹患すると言われており、疾病による死亡率は第1位にあることから、政府は平成19年4月にがん対策基本法案を策定し、がん対策を総合的にかつ計画的に推進する方針を打ち出しました。これによりがんの3大治療と言われる手術、放射線療法、化学療法をより一層推し進め、終末期のさまざまな苦痛からの解放を目指す緩和医療を広く行えるよう、がん拠点病院を全国各地に置くこととなりました。しかしながらこの施策は結果として医療費高騰に拍車をかけ、結局は満足行く医療を受けられる国民を減らす危険性もはらんでおります。我が国のがん医療の行く末は、洋々たるものとは決して言えない状況です。
 そもそも国民は現在のがん医療に満足しているでしょうか?がん治療の先進国全米ではがん患者の69%、我が国でも約45%が何らかの補完代替医療を受けているという統計があり、西洋医学的治療に対する不満、不安が伺えます。一方でがん患者の主治医で補完代替医療に対する関心や知識を十分に持っている者は非常に少なく、がん医療の現場では議論にすらならないのが現状です。ただし、これは主治医の側だけに責任があるのではなく、補完代替医療に関する公正で正確な情報があまりにも少ないことが、問題の根本であると言えます。
 私自身は疼痛医療、緩和医療を専門とする医師として、主に終末期のがん患者を診療して参りました。西洋医学ではどうにもならない様々な問題を漢方薬、はり灸などの手段が見事に解決する場面を何度も経験しております。これは私だけでなく多くの医療現場で起こっている事実であろうと思われます。米国の統合腫瘍学会2007年に発表した「がんの統合医療ガイドライン」では、痛み、悪心・嘔吐、口腔内乾燥などに鍼灸治療が、不安、情緒的な動揺、慢性の痛みなどに心身療法が強く薦められております。このようにがん医療における補完代替医療の役割は認識されつつあり、将来の発展が期待されています。
 今回の学術集会ではこのような現状を踏まえてメインテーマを「がんの補完代替医療」とさせていただきました。目的はがん医療の現場における補完代替医療の正確な情報を発信することであります。会場の帝京平成大学は東京・池袋にあり、交通、宿泊など至極便利でありますので多くの方のご参加を期待しております。
 今大会を通じ、がん医療における補完代替医療のあるべき姿を参加者の皆様と大いに議論し、我が国の医療へ貢献できれば幸いです。

第13回 日本補完代替医療学会学術集会
大会会長 高橋 秀則

   
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